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Vol. 27
TOPICS #27

Photo:
「Travel for All」

世界の貧困を考える(2)

貧困なき世界を目指すムハマド・ユヌス氏

貧困撲滅と言えば、10月にノーベル平和賞を受賞した「グラミン銀行」総裁のムハマド・ユヌスさん。

ユヌス氏は1940年生まれ。チッタゴン大学卒業後、米国に留学し、経済学博士号を取得。その後バングラデシュに戻り、チッタゴン大学経済学部で学部長を務めていましたが、「数十億ドルという数字を無造作に扱う計量経済学の理論が、数セントの食費が稼げずにやせ細った人々にどれほどの意味があるのか」と疑問を感じるようになりました。

農村を訪問した際に、竹細工で生計を立てている貧しい女性に出会い、材料を仕入れに高利貸しからお金を借りていたため、1日の収入のほとんどが返済で消え、手元に残るのはわずかな金額であることを知りました。そこでユヌス氏は、法外な利子を払わずにすむ小額な融資を行えば、貧困の悪循環から助け出すことができると考えたのです。彼女と同じ立場の農村の人々に個人的にお金を貸してみたところ、全員がきちんと返済してきたのでした。ユヌス氏は、貧しい人々に適切な利率で融資することが出来さえすれば、彼らは貧困から抜け出せると確信しました。これが、グラミン銀行の設立のきっかけとなったのです。


TOPICS #27

実績追求の信念通り、グラミン銀行は設立以来、9割以上の返済率を維持。現在は借り手320万人、融資総額42億ドル、返済率98%に達しました。住環境や衣料などから独自に策定した貧困ラインで判断すると「借り手の46%は貧困層から脱却した」ということです。このシステムはアーカンソー州知事時代のクリントン前米大統領によってシカゴに導入されたのをはじめ、60カ国以上で採用。「実績」は世界が認めるところとなりました。

「社会的に意味のあることを持続可能なビジネスとして成功させていることが、既存の銀行とグラミン銀行の最大の違い」とユヌス氏はいつも話しているそうです。既存の金融機関が避けがちだった女性をあえて融資対象の中心に据えたのも特徴です。途上国の開発といえば、先進国からの経済援助を思い浮かべがちですが、グラミン銀行は当初何度も世界銀行の援助の申し出を断り続けてきました。発行株式の94%を所有するのは融資先である貧しい人々。資本主義の仕組みを貧困問題の解決に上手くつなげる。こうした功績を認められ、ユヌス氏はノーベル平和賞を受けることになったのです。

賞金の1000万スウェーデン・クローナ(約1億6200万円)の使用方法については、仏食品大手ダノン社とグラミン銀行の合弁で、貧困層向けの低価格栄養補助食品を開発する事業に出資する考えを明らかにしているそうです。ユヌスさんはこのほか、賞金からは眼科病院や飲料水改善事業への寄付も行うと述べています。
*Photo: 「Travel for All」


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