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Vol. 34  体制転換と「赤いマフィア」の登場−その1
〜盛田常夫の政治経済コラム〜
 

ハンガリー在住盛田常夫の最新エッセイ。
ハンガリーの裏社会事情を探る!

体制転換と「赤いマフィア」の登場
 

体制転換と「赤いマフィア」の登場−その1
U. 赤いマフィア

 

表の商売に取り付いて甘い汁を吸う黒いマフィアと違い、赤いマフィアは略奪した資産を元手に大きなビジネスを始めるインテリマフィアだから、一見してマフィアに見えない。
 旧ソ連を構成していた共和国では、石油やガス、あるいは希少金属資源を保有する国有会社が、赤いマフィアのターゲットになった。ロシアの億万長者は皆、国家資産の私物化とその後のビジネス展開で大金持ちになった連中だ。しかし、度が過ぎるとしっぺ返しが待っている。
 共産党青年組織幹部だったホドルコフスキーは、ロシア最大の石油会社ユーコスを手に入れた。その彼が調子に乗って、大統領選に立とうとしてプーティンの標的になった。ロシア最大の億万長者は今、牢獄に繋がれ、ユーコスは解体されてしまった。他方、プーティンに恭順の意を表しているアブラモヴィッツは、チェルシー買収時に総スカンを食ったが、今はロシア代表チームにお金を注いで、プーティンとロシア社会に媚びを売って生き延びている。
赤いマフィアの実態を暴露することは命がけの仕事だ。何せ、相手はあらゆる報復手段をもっている。権力機関はもちろん、旧諜報部員や黒いマフィアを利用して、嘱託殺人を行う。ロシアのオリガークの出生を詳細に描いたフォーブス記者クレブニコフは、2004年にモスクワで暗殺された。オリガークの中でクレブニコフを恨んでいる連中は多かったが、とくに書物のタイトルで「クレムリンのゴッドファーザー」と名指しされ、プーティンに追われて英国に逃げたベレゾフスキーにとって、クレブニコフは憎んでも憎みきれない存在だっただろう。ウクライナのクーチマ政権の腐敗を告発した地方メディア記者コンガジェは、首をはねられた死体で発見された(2000年)。これがウクライナのオレンジ革命の一つの導線にもなった。


        
盛田常夫 著者:盛田 常夫

1947年
富山県高岡市出身
法政大学社会学部教授、野村総合研究所研究顧問を経て、ハンガリー立山研究所取締役社長

ブダペスト在住

盛田常夫のホームページ:「ハンガリーからのメッセージ

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