フェルダー直子は、小額ローンが貧困対策に非常に効果的であることを聞き、それが彼女の人生を変えた。
銀行業界でのキャリアを捨て、マイクロファイナンスに専念するためコンサルタントとして独立した。それは9年前のことだった。それ以来スイス在住の著者は全世界を旅し、講演を行い、財団等のコンサルタントとして活躍している。
その彼女の2冊目の著書として、マイクロファイナンスとマイクロフランチャイズを主題とする「Kleiner Einsatz, grosse Wirkung」(小さな投資、大きな効果)が出版された。
第一作目『Making Sense』(日本語版は「入門マイクロファイナンス」としてダイヤモンド社より2005年に出版(訳者注))と同様に、フェルダー直子は自分自身の経験を、理論と調査資料に実にうまく面白く結びつけている。今回はこの業界の最新の動向とダイナミックな展開を扱っている。
マイクロファイナンスは、国連が2005年を国際マイクロクレジット年としたことと、バングラデッシュでグラミン銀行を創設したムハマド・ユヌス氏が2006年にノーベル平和賞を受賞したことで有名になり、社会で広く知られるようになった。それ故この数年間メディアは、最高数百ドル程度の小額ローンでビジネス・アイディアを実現させたり、起業して更には従業員を雇用するまでになった女性たちなどの個別の実例を紹介するようになった。
本書は、マイクロファイナンスの背景や多面性についてさらに詳しく知りたい人には最適である。斬新な小額ローンの可能性がいくつも紹介されている。例えばKivaは、起業のために小額ローンを必要としている人とローンを提供したい個人を、借り手と貸手として直接結びつけるウェブサイトを提供している。
また、マイクロファイナンスの欠点を補う方法としてマイクロフランチャイズ(貧困層向けのフランチャイズ)を紹介している。何を起業していいかわからない人や特別な経営能力に恵まれていない人でも、マイクロフランチャイズを利用することによって小額ローンの恩恵を受けることが出来る。本書は、インドのコンピューター・キオスク・チェーンやケニアのファミリー・ウェルネス・ショップという薬局チェーンなど、実際のマイクロフランチャイズの例を紹介している。
著者の経済と金融知識のお陰で、金利や投資家向けの情報、マイクロファイナンスを提供する機関についての情報も網羅されている。150頁という短く読みやすい本のため、それぞれのテーマは簡単な説明にとどまっているが、巻末には豊富な関連資料が掲載されている。
更に、重要でありながら未だに十分な回答の出ていない倫理的な側面についても少なからぬ紙数を割いている。マイクロファイナンス機関の株式市場上場や社会的貢献がビジネスとして成り立つ可能性に対する疑問、マイクロソフト創立者のビル・ゲイツや伝説的な投資家であるウォーレン・バフェット等による慈善事業へ新しい取り組みの波及効果などを紹介して、本書を締めくくる。
XXXXX(推薦度: 5点中5点)
カティンカ・ギョムレイによる書評
ターゲスアンツァイガー: 購買者数でスイス最大の新聞
〔参照〕「入門マイクロファイナンス」の著者フェルダー直子さん |