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人は生きるために食べ続けなければならないし、タンパク質を摂り続けなければならない。動物性であっても植物性であっても構わないが、とにかくタンパク質を作るアミノ酸を構成する原子・分子の摂取が不可欠なのだ。
狂牛病の症状が何によってもたらされるのかは分かっている。タンパク質が変形し、脳細胞が海綿状になると、いわゆる狂牛病の症状が現れ死に至る。人間の発症例としては、乾燥硬膜の移植による発症やニューギニアの食人種族(死人の脳を食べる習慣)における発症例が知られている。牛における発症も、狂牛病に感染した廃棄牛の肉骨粉の飼料が原因だということも分かっている。
しかし、今になっても、感染のメカニズムがまったく解明されていない。異常タンパク質が増殖することから発生することは分かっていても、何を媒体として、どのようなメカニズムで感染し、増殖するのかがまだ解明できないのだ。この伝染病原体(タンパク質性病原体)をプリオンと命名したものの、病原体そのものの解明も、それが動物から人間へどのような媒体とメカニズムで感染するのかも、未解明のままである。プリオンという言葉だけが一人歩きしている状態だ。
福岡の言う「動的均衡」に従えば、生命体を構成するタンパク質は常に創造と破壊が繰り返されている。あらゆるタンパク質にはそれと相互的に作用する相補性をもつタンパク質があり、それがくっついたり離れたりしながら、傷ついたタンパク質を取り除き、それを新しいタンパク質で置き換える営みが絶え間なく繰り返されている。そのメカニズムが効かなくなり、異常タンパクが正常タンパクに結合して蓄積していけば、エントロピーが危機的な状況になる。
狂牛病のメカニズムは未解明だが、生体に取り込まれた異常タンパクは、分解されて消化器から血液に入り、体全体をめぐることになる。それが脳に滞留し、増殖するとしても、それ以外の部位が異常タンパクに汚染されていないという保証はない。だから、「危険部位だけを除去すれば安全」という判断には、何の科学根拠もない。あくまで便宜的な判断なのだ。
草食動物に仲間の肉骨を食わせる、死人の脳を食らうという自然の摂理に反した人為的操作が、新しい病を発症させている。遺伝子操作も、自然の摂理に反することになれば、新しい病を発症させる可能性がある。それを知る上でも、異常プリオンの感染メカニズムの解明が待たれるところである。
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