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| Vol. 123 ハンガリーからのメッセージ |
| 〜盛田常夫のハンガリー・政治経済コラム〜 国会を通過した健保民営化案 |
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X. 映画Sicko上映をめぐる怪 |
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マイケル・ムーア監督によるドキュメンタリー映画「スイッコ」は、アメリカの医療制度の問題を扱った話題作だ。日本でも8月末から上映され、自民党が党内で鑑賞会を開くなど、アメリカ本土のみならず、世界で大きな話題になった作品だ。
ハンガリーでも11月初めから封切りされた。ところが、健保民営化がこれほど政治課題になっているハンガリーで、ほとんどのハンガリー人がこの映画のことを知らないし、鑑賞していない。最初は大手の映画館で上映されていたが、すぐに場末の映画館で細々としか上映されなくなった。多分、ハンガリー全体で、この映画を鑑賞した人は、1万人にも満たないだろう。
一般市民はもちろん、政治家や知識人の間でも、この映画についてはほとんど語られることがない。SZDSZ系のメディアは、「あれは極端な状況を映し出しただけのものだから」と、最初から問題にしていない。他方、野党もこの映画の存在について、何のキャンペーンも行っていない。
しかし、ムーアが描いた状況は、現実のものだ。要するに、「保険料を払える人だけが、保険で担保された範囲内で、無料で医療サービスを得られる」という単純な現実を描いただけのものだ。そして、この現実の裏には、もう一つの現実が存在する。安い保険料を払っても、たいした給付は受けられない。しかし、高額の保険料を払える社会層は限られているから、5000万人近い人が無保険状態にある。世界最高の高度な医療サービスが展開されているアメリカでは、それを享受できる社会層は限られており、多くの人が医療サービスから取り残されているという矛盾した現実が存在する。
SZDSZ系の経済学者はこうしたアメリカの矛盾を無視して、あたかも民間保険会社を正義の味方のごとく描き、民営化ですべての問題が解決するという幻想を与えている。だから、映画Sickoは、健保民営化推進派にとって不都合な存在なのだ。
それにしても、ハンガリーのメディアは怠惰で、政治的圧力に弱い。すべての雑誌や新聞が政党色で色分けされ、自分たちに都合の良い主張しか掲載しない。野党側も機敏な対応に欠けている。映画Sickoは大きなキャンペーン材料だったにもかかわらず、FIDESZが有効に使えなかったのも、大きな失策だろう。
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Y. スィリ・カタリンの選択 |
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国会議長スィリ・カタリンは11月に社会党主流派を離れ、左派グループに身を寄せた。健保改革を議論する社会党の討論集会で、社会学者のフェルゲ・ジュジャはジュルチャーニを前に、社会保険の民営化政策を厳しく批判した。ジュルチャーニはこれに反論しなかった。スィリはこのフェルゲの主張に耳を傾け、フェルゲの主張に理があると判断し、異論の多い法案を強行採決すべきでないと考えたようだ。そして、社会党左派を中心に、健保法案の採決を翌年に延ばすべきだという主張が展開された。実際、採決日が近づいても修正提案が続出し、誰も法案の最終的内容を国民に説明できないのだ。それでは国民への説明抜きの決議になる。当然、FIDESZも採決繰り延べを主張した。
12月初め、スィリは新聞インタビューで、採決を来年2月に行うことを提案した。しかし、両党首脳は延期が法案廃棄に繋がるとして、この提案に取り合わなかった。権力を維持する側の論理としては当然だろう。権力を選ぶか、社会正義を選ぶか。苦しい立場に追い込まれたスィリは、17日の投票で「ノー」を選択した。
社会党左派はスィリに同調せずに、主流派との協調路線を選択した。ここで法案が否決されれば、ハンガリーの政界は一挙に流動化する。そうすれば、社会党の分裂にもなりかねない。次の選挙で公認しないという主流派からの圧力もある。スィリ1人だけが、象徴的に左派の主張を貫くという形をとったのだろう。
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Z. 知識人の分裂 |
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ハンガリーでは知識人も社会党、SZDSZ、FIDESZの陣営に分かれているが、今回の健保民営化法案をめぐって、この垣根を超えた主張がぶつかり合った。
フェルゲ・ジュジャやタマーシュ・ガシュパール・ミクローシュを初めとする社会学者、哲学者、歴史学者、労組指導者は、140名の署名で政府案採決反対を訴えた。
これにたいして、ボクロシュとバウエルなどのSZDSZ系経済学者は、「効率性を高める改革に反対すべきではない」と117名の署名で対抗した。これには、リシュカ・ティボール、ベーケシ・ラースローのほか、哲学者のヘラー・アーグネシュや歴史学者のオルモシュ・マーリアが署名した。e-mailによる回覧文書に賛同を求める形がとられたようだ。
SZDSZ系の雑誌に寄せた政府案批判の拙稿「コーヒーと紅茶を混ぜ合わせるナンセンス」は、当然のことながら没になった。
(関連記事は、http://morita.tateyama.huを参照されたい)
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盛田氏の家に突然居座って
しまったネコの花ちゃん。
夜はガレージに
入れてあげるそうです。
(*画像クリックで拡大写真)
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盛田氏はブダペストに
お住まいですが、
ブダペスト丘陵に連なる
小高いところでは、氷点下5度以下
になると、このような樹氷の
光景が見られるそうです。
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※盛田常夫氏は、昔からテニス、スキー等、スポーツ万能で、最近では毎年様々なマラソンに出場しています。
(画像クリックすると拡大します) |
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