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〔第8回〕
BYOOLな人  陶芸家 宍戸真知子さん
陶芸家 宍戸真知子さん
 

今回の「BYOOLな人」では、アメリカ、ワシントンD.C.にお住まいの陶芸家、宍戸真知子さんをご紹介致します。宍戸真知子さんは、1997年にロクロを始めて以来、アメリカにおいて、最高峰であるスミソニアン工芸展を始め、様々な工芸展で入展なさっています。

ナルシッソス

宍戸さんは、ピアニストでもいらっしゃり、ピアノの演奏会もたびたび行ないながら、陶芸作品の制作に励んでいらっしゃいます。子どもの頃から、ピアノと、そして、何か物を作ることがお好きでいらっしゃったという宍戸さんは、ウィーンでのピアノの留学中に、粘土の創作に出会いましたが、当時は、ピアノの練習で、粘土作りにかける時間はほとんどなく、いつかロクロを習って、創作をしてみたいというのが夢だったそうです。そして、ご結婚でアメリカに渡った際に、ロクロを習う機会に会い、以来、現地の工芸展に数多く出展なさっていらっしゃいます。

BYOOL SNSでも、たまに、ワシントン便りを書いてくださっていますが、2008年夏に、ご主人がネパールに駐在になられたため、そちらも時々訪問する機会があるとのこと、今後、ネパール事情などもお伝えしてくださることを期待しています。

旅立ち(蝶)

 
《宍戸真知子 陶芸 略歴》
2008 スミソニアン工芸展(スミソニアン主催:ワシントンDC) 入展
2007 フィラデルフィア美術館展(フィラデルフィア美術館主催、フィラデルフィア市) 入展
ワシントン工芸展(クラフトアメリカ主催:ワシントンDC) 入展
2006 ワシントン工芸展(クラフトアメリカ主催:ワシントンDC) 入展
2005 スミソニアン工芸展(スミソニアン主催:ワシントンDC) 入展
2004 Crossing Over Dream(世界銀行主催) 入展
2003 モンゴメリー陶芸クラブ作品展(メリーランド州) 入展
Summer Salon美術展(アーリントン、カウンティ所有ギャラリー:バージニア州)入展
2002 Beyond Boundaries Art Show(ギャラリー奥田インターナショナル:ワシントンDC)入展
Summer Salon 美術展(アーリントン、カウンティ所有ギャラリー:バージニア州) 入展
1997 ロクロを始める。
1975-1980 留学(ウィーン国立音楽大学ソロピアノ課)先、ウィーンにて、粘土を使用した彫像、タイル制作。
その他: アメリカのアート雑誌、新聞掲載、国際通貨基金によるインタビュー
リビング雑誌掲載

月明かり

* * * * *

〔宍戸さんへのインタビュー〕

■ 陶芸の魅力を教えてください

目の前に土のかたまりしか有りませんので、それが何かに向かって変化していくのを実際に見られるところが楽しいですね。大きく分けて2つの方法がありますが、手びねりの場合はより自由に創作ができます。ロクロは基礎を学んで練習をすれば、アッという間に形が出来るようになります。そのスピード感は魅力です。そして、その日の自分の状態によって出て来る形が違います。

このどちらかの方法で出来あがると、たとえ“箸置き”一つでもオリジナルとなります。自分で作った作品をすぐに毎日の生活に使えるところが最大の魅力ですね。

陶芸はとても奥が深く、土の種類、釉薬、焼き方、それを例えば3角の三辺にして考えると、その組み合わせでありとあらゆる三角形が出来ます。同じ物を作ろうと、しっかりと釉薬の原料を量って混ぜ、全く同じ粘土を使っても、その日の天気によって窯の温度が微妙に違います。それによっって、もう、同じ物は作れません。しかしその少しの変化がもたらす結果を見るのは、良い意味でスリルがあり好きです。


朝霧

■ ピアノと陶芸は、何か共通点があるのでしょうか?

一口で言ってしまえば、種類は少しちがいますが、指先に集中することでしょうか。

陶芸の場合、想像の世界は指先にその日の気分で出てきます。指で作る曲線をあまり考える事なく目で追っていきます。この部分が多くの陶芸家の一番好きな部分でもあり、“行きはよいよい・・・”の部分です。“帰りが怖い・・・”は形成後、いろいろな過程で始末をしっかりしなくてはいけない作業です。どんな小さな見逃しでも仕上げに出てしまいますから。

ピアノは偉大な作曲家の作った一曲の楽譜をいつも通る散歩道として例えると、指を使いながら音を耳で追って出口まで行かなくてなりません。陶芸で使っているような目の動きを今度は耳がします。響きを聞き分けながら、作曲家が作ったその道に咲いている花の色が濃い色か薄い色なのか、その道の空気の色ははどうなのか?そのように曲から頭に浮かぶ幻想をたどって、出口まで行かなくてはなりません。そこに演奏者の感性がでると思います。

曲の仕上げに入りますと、暗譜の作業など冷静にならなくてはいけないところが、まさに陶芸の最終チェックのときに使うような神経を使いますね。



■ 小さい頃はどんなものを作っていらっしゃったのでしょうか?

仏像が好きでした。小学校3年生のころからでしょうか、祖父母の家に一人で片道一時間ぐらいかけて泊まりに行きました。朝になると仏間から祖母の般若心経が聞こえ、それで目をさましました。仏間には鎌倉時代の毘沙門天像があって、いつも見ていたせいか仏像が好きになったのですね。

寝る前に気に入った仏像の写真を眺めて眠るようになりました。今考えてみるとずいぶん変わっていた小学生でしたね。ですから、小さい時に作ったのは赤ちゃんを抱いている仏像とかでした。

余談ですが、中学校の修学旅行で始めて京都に行った時は写真で良く知っていた仏像に巡り会えた喜びでとっても嬉しかったです。あとは、紙切り、影絵作りに夢中になっておりました

■ ウィーンで出合った陶芸とは、どのようなものですか?

陶芸屋さんを発見した事がウィーンの陶芸との巡り会いです。そこで粘土を買って、家でそれを引き延ばし板にしました。その板に釉薬で絵を描きました。そのうち陶芸屋のおじさんと親しくなり陶芸の事をいろいろ教わりました。

釉薬で描いた絵は、ウィーンのアールヌーボーに非常に影響を受けておりました。

また当時教えて頂いていた教授をモデルにして小さい人形を作り、ピアノの上に座る形にして、教授が私の練習ぶりをウオッチングしているようにしました。しっかり練習できるようにと。(笑)

電気スタンドもいくつかつくりました。とっても気にいったのがありました。残念ながら壊れてしまいましたが。そのスタンドもピアノの上に置いて夜はその光で練習していました。当時作った物は殆どプレゼントとしてさしあげてしまったので、現在はあまり残っておりません。

■ 尊敬する人はどなたですか?

レオナルド ダ ビンチ、シューベルト、身体がご不自由でも、頑張っている方々。


ペンシルバニア通り(ワシントンD.C.) (Photo by S-Hoshino.com)


■ 普段の生活で、好きなことは?

このご質問には答えがたくさん有りすぎて困ってしまいます。
まず眠る事。良く睡眠を取っていないと、一日が楽しめません。

睡眠さえ充分なら、一日中いろいろ角度をかえて作る事に集中するのが大好きです。
でも睡眠を充分取ってしまうと、とにかく時間が足りなくなるので時間割を作ります。時間割は、“ねばならない!”にはしません。それだけで肩がこってしまうので(笑)
作る、練習することにはその日の限度がありますので、頭が疲れたらヨガ、食料品の買出しですね。
食料品は有機製品に興味がありますので、成分表等をゆっくり読んでいる時ってとてもリラックスします。数独を2,3_題時間と競争したり、ボーっとドラマを見たり、ビオラダガンバを聴いたりもします。

■ 宍戸さんの夢、あるいは、目標を教えてください。

いつも思っていることは自分自身の向上・・・技術的という意味ではなく、もっと根本的なとポジティブ人間になりたいということ。また当面は、現在練習中のピアノトリオ数曲を完成させたいです。

もっと先の大きな夢は、世界中の陶芸家が日本の素晴らしいいろいろな種類の土に触れられ、作品を作れる場所を日本に作りたいですね。
沢山の人数でなければ泊まっていただき、出来れば温泉も経験していただければ。
庭にはそんなに広くなくて良いから、有機栽培の畑が在って…御飯はわいわい言いながら皆で作ります。お友達にも遊びにきていただいて、夜は楽しくみんなでアンサンブルができたらいいな。 

そんな、夢と目標を持っております。

どうもありがとうございました。

*宍戸真知子さんのWebサイト: Machiko's Porcelain



        
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